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【#B4UT部内戦2023】部内戦IIDX(SP)部門 振り返り【beatmaniaIIDX 31 EPOLIS】

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この記事は、B4UT Advent Calendar 2023 参加記事です。

ハッシュタグ : #Advent4UT2023

この記事は12/23 iLiss.参加分1本目の記事となります。 2本目の記事『「#BPLChallengersUT2023」とは何だったのか』が個人的には本命なので、是非そちらもご覧ください。18:00頃公開予定です。

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こんにちは。iLiss.です。

去る12月2日及び3日、B4UT部内戦2023が今年も無事に開催されました。今回は大会運営から色々交えてIIDX(SP)通常戦のレポを行っていきたいと思います。

 

 

 

1. マッチング決定理論と、課題曲選定で考えたことについて

まずはここから。交流戦運営として一番大事なマッチング課題曲について書きます。自分は多分IIDX運営として関われることがもうないと思いますから、次代のIIDX運営の参考にしてもらえると嬉しいです。

 

1.1 事前調査で見ることは何か?

ではまいりましょう。部内戦運営の戦いは参加調査フォーム作成段階から既に始まっています

そう、事前調査です。

 

事前調査の質はマッチング決定において非常に重要になります。どのようなマッチングを組むか、だけではなくて、対戦カードに対してどのようなビジョンを見るかどのような課題曲を設定すれば対戦が面白くなるか、ということもまた大事になってきます。これらを上手く決定できるように設定するのが事前調査です。

 

事前調査で得るべき情報は、大きく分けて3つ。

 

  • プレイヤーの地力
  • プレイヤーの大まかなスコア力
  • プレイヤーのスコア力の臨界点

 

一つづつ見ていきましょう。

プレイヤーの地力

クリア力」と読み替えて頂いて構いません。段位☆12非公式難易度表*1といった指標で推定します。☆12に限った話をすれば、CPIという指標がありますが、指標自体が比較的新しく、やや浸透しきっていないこと、EX-HARD以上の価値が高く、エクハ埋め/FC埋めをしているか否かで推定値が大きく変動することなどから、数字の扱いが難しく自分は扱いませんでした。

 

部内戦はスコア勝負ですから、その以前の段階としてクリア自体が危うい状態で対戦を行ってしまうと部内戦体験の質が低下してしまう恐れがあります。そのため、主に選曲制限の設定位置を決定することを目的として当調査を行います。大体地力上限から2-3段階ほど低い選曲上限、そこから更に1-2段階下がった課題曲難易度で設定するとよい*2でしょう。ここでいう「段階」は☆12非公式難易度表の段階を念頭に置いていて、☆11以下は大体1難易度が3-4段階程度に分けられる感覚でいいと思います。

 

プレイヤーの大まかなスコア力

次にスコア力です。この話の前に、beatmaniaIIDXの話を少ししたいと思います。

 

beatmaniaIIDXというのはとても独特なゲームで、リアラスコアラーと呼ばれる2種類のプレイヤーが存在します。これがなかなかIIDX独自概念で、このゲームの特殊性が色濃く出ている部分だと思います。

このゲームはスコア・クリアともに果てが非常に遠く、クリア力の話をすれば、2000ノーツくらいの曲であれば(譜面傾向にもよりますが)一般的にお上手と言われるHARD(白色ランプ)で大体50-60個、FCを除いたクリアランプの最高色であるEX-HARD(赤橙ランプ)ですら15-30個のMISSが許されます。これは近年の音楽ゲームと比べればかなり異常で、大抵の音楽ゲームでクリアランプ的なお上手ラインがFCPERFECTに設定されていることを考えれば、まず有り得ない事態です。

次にスコア面。このゲームのスコア最高判定はAAAなんですが、この判定のボーダースコアレートは88.88...%*3。つまり譜面全体のスコアの9割を取得できていなくても最高判定が貰えます。ロングノーツに始点終点以外のスコア判定がないことを考えればまあ緩めに設定されていることに理解が得られると思いますが、だとしてもラインが低いです。そしてプレーされてる方はなんとなく分かると思いますがこれが果てしなく難しい。最高判定±約2F(120FPS)、そこから外れるとスコアを50%持っていかれます。は?

 

......とまあ、IIDXは厳しいゲームだねえという話で終わってしまっては何にもならないので話を続けますが、この各方向にあまりにも厳しいゲーム性から、プレイヤーは自然と2つの方向に分岐することになりました。

超高難易度におけるFCやPERFECTを狙うリアラと、一定難易度で理論値やMAX-といった高スコアを狙うスコアラーです。

この傾向はどの地力帯にも存在し、クリア狙いに特化して下位譜面でもスコアが安定しないクリアラや、スコア力に対し地力上限付近のスコアが全く出ないスコアラーも多く存在します。スコアとクリアがある程度結びつく傾向にある近年の音ゲーを考えるとなかなか考えられませんが、これがプレイヤーのマッチングを難しくしています。

 

部内戦運営の際には、各プレイヤーがリアラスコアラー、どちらに属するのかをしっかり把握する必要があります。後述する事前調査課題の他、現代にはアリーナランクというそこそこ良い指標があります。上位帯で真剣にプレーしているIIDXメインプレイヤーであればノーツレーダー*4もいい情報になるでしょう。この情報はマッチング決定後に役立ちます。これをもとに、難易度上限、課題曲を一般ラインから動かすのか、を考えます。

 

リアラvsリアラであれば、自選曲上限は一般ラインで問題ありません。課題曲のラインも一般ラインで問題ありませんが、少々上げても文句は出ないと思います

スコアラーvsスコアラーも、自選曲上限は一般ラインでOKです。課題曲ラインは少し下げると、スコア勝負の面が強調されていいかもしれませんが、勿論一般ラインでOKです

問題はリアラvsスコアラー。この2人をマッチングする場合、自選曲上限の引き上げを考えましょう。スコアラー側は地力上限のスコアが崩れる場合が多く、これによってリアラに自選曲の選択幅を残すことができますスコアラー側は放っておいても自選曲の選択幅が広いので*5、あまり気にする必要はありません。

課題曲に関しては、うまく考える必要があります。地力によってリアラスコアラーのスコアが拮抗する点があり、その点を探して課題曲を設定するとよいです。もし探すのが難しいのであれば、基準点から幾らかラインを上下させた課題曲を織り交ぜるとよいです。各者の得意傾向が分かっているなら、そこから決定するのもよいでしょう


マッチング決定後の話は十分でしょう。では、肝心のマッチング決定はどうするのか?重要なのは、「臨界点」です。

 

スコア力の臨界点

前述の通り、スコアラーは地力上限のスコアが崩れる場合が多いです。ただ、そのスコアが崩れやすくなる境界線はプレイヤーによって異なります。その境界線を見定める役割を担うのが事前調査課題です。

事前調査課題は、何曲か楽曲を指定してスコアを提出してもらうというもので、スコア力臨界点を測るのに使用します。ここで選択する楽曲は、出来るだけ地力も地力といった感じの曲がよいです。今回のセットリストは次のような感じでした。

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全5曲からリスト内で連続する3曲を選択して、スコアを提出

☆12 Meissa (SPA)

☆11 Xyndrome (SPA)

☆10 Brave Spirits (SPA)

☆9 Ghost Pulse (SPH)

☆8 めでてえ (SPH)

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このセットリストに対する思想は結構あって、リストをずらした時に出入りする楽曲が同じBPM帯になるようにする、必ず入る楽曲は純粋にスコア力を見る譜面にする、連続3楽曲に違う傾向・BPMの楽曲を入れる16分をメインにするといったところです ここらへんは個人的なところなので思い思いの思想を入れてください

中伝-皆伝スコアラーのスコア力臨界点が☆11付近であることも結構あるので、☆11以下を調査することは意外と理にかなっていると思っています。今後☆12を2曲にするのも悪くないかも。

今回事前調査を3曲にしたのは、前述したようにスコアラー/リアラをちゃんと見極めるためというのもあります。Meissa (A)の難易度が臨界点見極めにおいてそこそこ優秀で、今回これのスコアを元にマッチを組み、それ以外の楽曲を見てスコアラー/リアラの見極めをしていました。大体この楽曲でスコア臨界点にかからない層はたいてい最上位層です。

 

1.2 課題曲選定で考えることは?

次に、課題曲選定で考えることを話します。リアラvsスコアラーの話はもうしたので、次は全体的な選曲方針の話をしましょう。

 

#1 SCRATCHSOF-LANを避ける

大原則です。基本的に個人差要素となるSCRATCH及びSOF-LANは出来る限り避けるべきです。自選潰し*6にもなりかねませんし、対戦者の不快度の上昇にもつながりかねません(2敗くらい)。同様の理由でズレ・ハネと呼ばれる譜面傾向もある程度避けるべきかなと思います。CHARGEそろそろ地力としてよいでしょうが、あまりに極端だと嫌われると思います。

 

#2 BPM帯、16/8分、CNなどのバリエーションをつける

地力曲を3つ並べる際に注目するべきはバリエーションです。16分乱打が長く続くタイプにするのか、同時押しが難しい楽曲を置くのか、CN絡みを考えたり、緩やかな局所難を置くのか。また、中速(16分換算で大体140-160)高速(大体180の16分以上)、あるいはそれ以上それ以下にするのか、一口に「地力曲」といってもこれだけのバリエーションがあります。課題曲としての選曲の幅は比較的狭いでしょうが、それでもな楽曲群を並べられるはずです。なお、困った時は現代(HEROIC VERSE以降)の楽曲・譜面をセレクトすると大体間違わないはずです。勿論例外はありますが......

 

#3 「いい曲」を選ぶ

または職権乱用という。

 

個人的にはこの3つを考えていました。課題曲選考は各機種永遠の課題だと思いますから、参考にしてみてください。とはいえ、各機種に「何を地力とするか?」という問題があって難しいとは思いますが...

 

2. 課題曲セレクションピックアップ

それではマッチング理論実践編です。各プレイヤーの背景情報を見ながら、課題曲/選曲上限の決定プロセスを見ていきましょう。

 

レプリカ vs hyd

まずは十段vs八段のマッチアップ。ここ2人は地力的には離れているものの、他に当てるマッチアップがなく、かつhydにややスコア的に分があるという感じ。このマッチアップは2回組まないといけなかったので、2試合でレプリカ有利の☆11を組み込むか組み込まないかみたいな分け方をしました。彼らは意図を汲んでくれただろうか。

課題曲は☆9から3曲。hyd側のXyndromeのスコアの低さを見て、ややhyd有利の中速CHARGEとしてMiami Sunset Drive(A)、hyd不利の高速CHORDとしてGIGANT(A)、そして低速完全スコア勝負になるOVER TIME(A)としました。今回はどうにも課題曲組みが難しかったのと、心理戦形式*7をとった都合でこのような形となりました。

自選曲は思った通りの展開に。hydがSCRATCH大好きなのも知ってました。ただレプリカ自選がTHE SAFARI(H)だったはとてもおもしろかったです。OPが正規だったのは素直にすごい。

この試合は課題曲の心理戦で勝ちをもぎ取ったhydが2-1で勝利地力下でも勝てる余地を残す、をしっかりと実行できた結果なんじゃないでしょうか。課題曲が違えば結果は変わっていたかもしれませんね。

 

南区 vs G.N.

お互いに中伝ながら地力的に皆伝がかなり近いIIDXネイティブの南区と、中伝なりたてで各所でスコアを破壊しまくっているG.N.のマッチアップ。事前調査のMeissa(A)はほぼ同スコア、それ以下は明らかにG.N.有利です。

G.N.の地力上限(最高HARD)が非公式B+ということで、ほぼ投げられるギリギリを上限としてチョイス。本当はAでも良かったかも知れないが、G.N.側が何も出来ず負ける可能性を考慮すると踏み込みづらかった。

課題曲チョイスはできるだけ重い16分鍵盤で、その中でもBPM帯の分かれる3曲をチョイス。課題曲としては結構安直なセレクトとなりましたが、果たして本当によかったのか...?答えは対戦結果として現れる。

自選曲は勿論精度vs地力!...と思いきや、あれ?

...と思いましたが、G.N.自選の狂イ咲ケ焔ノ華 (A)比較的左右交互が効く高速鍵盤SOUND VOLTEXインペリアルのG.N.の得意傾向、南区の自選Sense 2007(A)はTHE 皿複合といった譜面でIIDXネイティブにとっては多機種勢を刺せる譜面の1つということで、突き詰めれば納得のいく課題曲構成。狂イ咲ケ焔ノ華 (A)は1P鏡/2P正規当たり、Sense 2007(A)はS-RAN選択をするプレイヤーが一定数いるということで、両者のオプションにも注目でした。そして課題曲はプールの中で最も難しいFlying Castle(A)。これは南区にやや寄る...

...なんていうのは、甘い考えだったね。

完全に彼を過小評価していた。そう言わざるを得ません。

というわけで2-1でG.N.の勝利。果たしてどうするべきだったか、また考える必要がありそうですね。

 

そんな課題曲選考の2側面を2試合でまとめてお伝えしました。最後に、注目試合をいくつかピックアップしながらお別れとしたいと思います。

 

3. 注目試合ぴっくあっぷ!

Day1 iLiss. vs るーく

1日目の最上位マッチ。方や最高A1、方や☆12全EX-HARDというTHE クリアラーvsスコアラーのマッチアップ。そう、何を隠そう片方は筆者なので、課題曲選定は...

そう、あのBPLS3 IIDX チームGAME PANICアナリストとして活躍するB4UTOBひたらぎ先生にお願いしました。

このマッチはるーく先生の上限地力を遺憾なく発揮して頂こうと上限をハード非公式S+、つまり実質的な無制限に設定したのですが、それにより課題曲に個性豊かな超高難易度が3曲並ぶ事態に。流石にめっちゃ焦りました。

とはいえ、課題曲相性が存在した今回。自他選差し合いから課題曲勝負でiLiss.が2-1。心理戦で被ったTHE PEERLESS UNDER HEAVEN(A)、課題曲にしては大分尖っていますが個人的に相性有利でした。

ちなみに、このマッチアップはマッチ公開直前にるーくのスコア力の伸びを見て慌てて変えたという裏話があります。

すみません、毎日255(A) S-RANDOM健康生活をお願いします。

 

Day2 すからー vs リリィ

Day2の最上位マッチ。こちらは上回生vs新入生の新旧B4UT Member対決。個人的にリリィさんの情報を掴みきれていなくて、ただ事前調査を見た感じ「☆12はすからーやや有利かな~」と思っていました。今回上限がハード非公式Sほぼ上限ギリギリなのもそれが理由です。自選曲は中速乱打vs同時押し重発狂といった構成、結果は...

OMG、彼上手すぎだよ。

なんとリリィの3タテ!マジでお上手だった。普通に今やっても勝てる気しません。いや内容が上手すぎる。このスコア。凄いよ。次回はるーくさんと一緒に迎え撃つ準備しておきます。

 

4. さいごに

beatmaniaIIDXは、楽しい!

みなさんも部内戦を通じて、楽しいbeatmaniaIIDXガチンコ勝負の楽しみ、体験してみませんか?色んな楽しみ方があって、自分に合ったやり方をここでなら見つけられるかもしれません。

 

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

 

おまけ

いい試合でした...

*1:https://docs.google.com/spreadsheets/d/e/2PACX-1vSUdp6iuEzE8Z5AL1hkoxzLexp89nJnLQMmICm6_MC0_UjCp1ImZFzabcZkvCpK7mcWvm_2t6iYoJRg/pubhtml 以下、「ハード非公式」といったらこの難易度表の指標を指します。

*2:後述しますが、例外があります

*3:8/9

*4:詰めるのには結構スコア力が要求されます

*5:特に今回のように下限がない場合

*6:自選曲として用意しようとしている楽曲を、課題曲として設定されてしまうこと

*7:課題曲からBANを1つ指定し、被らなかったら残った1曲、被ったらBANの1曲で勝負する形式